分散型自律組織(DAO)とは―ブロックチェーンで新たなビジネスチャンスをもたらす組織形態

2019-12-04

DAO

 

ブロックチェーン技術の発展に伴い、分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization、DAO)という新たな組織形態が業界で注目を集めています。DAOは、スマートコントラクトを通じて、組織管理や運営をブロックチェーンで実現させる、第三者の関与を排除した、利害関係者が共同投票、決定する非中央集権の組織形態と考えられてます。しかし、現時点でDAOの発展は依然として初期段階にあります。

 

1.DAOの定義

 

業界では、DAOの定義は未だに不明確です。2013年、米国人のDaniel Larimer氏がDAOと類似する概念-分散型自律コーポレーション(Decentralized Autonomous Corporation、DAC)を提起しました。その後、Vitalik Buterin氏は、情報技術専門家Daniel Suarez氏が書いた本、『デーモン』からのヒントを得て、ブロックチェーン分野でのDAOを提示しました。DAOが正式に知られるようになったのは、2015年に「DAO」という名称のスマートコントラクトがイーサリアに実装されたことから由来します。

 

2.DAOの特徴

 

(1)分散型(Decentralized)
DAOの中に、中央集権型のノードが存在せず、各ノードが同じ立場を持ち、相互作用、競争及び協力を通じて組織目標を実現していきます。またインセンティブシステムの導入により、組織の効率がかなりのレベルで維持されます。

(2)自律・自動化(Autonomous・Automated)
理論上では、DAOでの管理には、コーディング化、プログラム化及び自動執行との条件が揃っており、組織形態は従来のピラミッド型から現在の分散型に移行します。利害関係者が共同で確立したルールの下で稼働していますので、信頼関係の構築にかかるコストや取引コストを大幅に削減することが可能となります。

(3)秩序化(Ordered)
スマートコントラクトにより、DAOの仕組みに決まる規則、参与者の権利と義務、賞罰規程などがすべて公開されていますので、貢献度の高い参与者に奨励を与えたり、不正行為を行った参与者を処罰したりすることで、そのシステム全体を整えていきます。

(4)トークン化(Tokenization)
基幹領域(階層)にブロックチェーン、人工知能、ビッグデータなどの新興技術を実装したことで、DAOの場合では、人為的ミスを有効に回避することが可能だと考えられます。また組織の中に存在する人物、知識、製品などの物事を資産として認識し、それをトークン化させた後に、様々な経営資源の融合が簡単に実現することが期待されています。

 

3.DAOの階層

 

DAOの階層に関しては、業界での意見は依然として一致していません。一般的には、ブロックチェーン技術、人工知能、通信プロトコル等を含む「基幹領域」、コンセンサスアルゴリズム、ブロックチェーン相互運用、デジタル技術等を含む「治理領域」、トークン発行・流通やトークン価値管理を含む「インセンティブ領域」、開発チーム+コミュニティ自治や分散型ネットワークを含む「組織形態領域」、仮想通貨、組織機関等を含む「応用領域」という5階層によって構成されると考えられています。

 

4.DAOの問題点

 

(1)セキュリティ
周知のように、DAOという組織形態は、ブロックチェーン技術、スマートコントラクト、人工知能などの新興技術上に構築されており、そもそも、こういった新興技術は、多くのセキュリティ問題に直面しています。

2016年6月17日、ある事件が起きました。グランドファンディングのプロジェクトとして知られている「The DAO」がハッキングされ、総額3600万ETHが盗まれた。この事件を受け、イーサリアムの分裂が実行されるようになりました。

ハッカーが「Reentrancy Vulnerability」を利用して、DAOへの攻撃を行ったということです。一方で、「Timestamp Dependence」、「Mishandled Exceptions」などのセキュリティホールが依然として、DAOの安全性を脅かしています。

(2)技術の局限性
例えば、コーティングされた契約書(Dry Code)と、文字で書かれた契約書(Wet Code)とは大きく異なっています。両者の転換においては、その意味を正確に訳するところに難しい又はできない部分が少なくないです。そのため、このような制限はDAOの応用と普及を妨げています。

(3)法的リスク
分散型、匿名性、国境を越えることなどの特徴を持つDAOは、実際の運営に入ると、法的問題が頻繁に発生し、責任の確定や賠償などのリスクがもたらされるのも現実です。

 

5.まとめ

 

社会の各方面の発展は、人や組織を囲む環境を複雑化にしています。それによって、従来の組織形態には、様々な問題が現れています。

この変化に対応するために、DAOの出現が重要な参考として、今後組織形態の発展の方向を示唆しています。現時点では、The Dash DAOBitSharesAragonMakerDAOMoloch DAODAOStackなどのケースが知られています。

しかし、前述の問題点を抱えるDAOには多くリスクが潜在していますので、基礎研究や現実環境を見れば、DAOは初期段階にあり、大規模な普及と応用のレベルに至っていないとは言えるでしょう。

 


 

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