ベネズエラ、ペトロ(Petro Coin)が陥る窮境 

2020-02-05

ペトロ
2018年2月、ベネズエラ政府が国家レベルの仮想通貨である「Petro Coin」を正式に発行した。この発行は国内経済や国際貿易情勢の改善策として期待されているが、今から見るとその効果には限界があり、最初の機能も十分果たしていなかった。このような状況を受け、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が2020年1月14日、「Petro Coin」を取り直す意思を示した。

政府が主導するプロジェクト

2018年3月、ベネズエラ政府は国民がPetro Coinを用いて不動産の購入することが可能となったと発表。同年8月、当局はPetro Coinを新しい法定通貨として認可した。しかし、国際的にPetro Coinの地位が認められていないのも現状で、米ドルを使い慣れたベネズエラの国民から新通貨を利用する動機もあまり見られない。

このような厳しい現状のもとで、当局はいくつの改善策を打ち出した。例えば2019年7月4日、ニコラス・マドゥロ大統領は国内最大銀行Banco de Venezuelaに約790の窓口を設置。同年10月、政府は新通貨とボリバル・ソベラノとの両替を可能にし、Petro Coinの流動性を促進した。このほか、地元企業に仮想通貨による決済の受け入れを呼びかけ、ニーズに応じて必要な技術も提供することで、Petro Coinの普及を促している。

 

冷遇されたPetro Coin

ベネズエラ政府は、Petro Coinの普及や応用に力を入れていたにも関わらず、市場の反応は依然として低迷している。更にベネズエラ中央銀行は、ニコラス・マドゥロ大統領がPetro Coinを取り直す意思を示したほぼ同時点で、「Biopago」と呼ばれるシステムを通じて同仮想通貨の販売を無期限に中止したと表明した。

その結果、Petro Coinは社会に流通するルートを遮断され、Petro Coinの購買力が大幅に低下してしまった。現時点の調査によると、Petro Coinの現在価格は発行時点の半分にも至っていないことが明らかになった。また多くの地元企業がインフレを恐れ、Petro Coinによる決済を放棄する方向に調整する方針の見込みだ。

 

Petro Coinの普及に深刻な問題

前述のように、当局の信用性が高くないなどの理由で、Petro Coinは国際的なサポートや認可を得られず、国民は安定性している米ドルに依存する傾向があると、現在のベネズエラの情勢から読み取れるだろう。またPetro Coinの自体にも多くの課題が残っている。

技術的な観点から言えば、Petro Coinはイーサリアムネットワーク(ETH)に基づき、開発されたトークンの一種に過ぎない。ETHを含む仮想通貨又はトークンのほとんどは、小売業向けの専門決済サービスに応用する仮想通貨の開発ステップに至っていないことが現状だ。

地元メデイアの報道によると、政府は、同国の退職者や年金受給者などを対象に2019年のクリスマスボーナスとして同国政府発行のPetro Coinを配布したが、BioPagoシステムには不具合が生じ、一部の取引が失敗したという。

経済的な効果から言えば、同仮想通貨のホワイトペーパーの中では、「Petro Coinの価値が政府の意思に連動する」と説明されている。しかし、ベネズエラの国内情勢が不安定で、大きな経済・社会問題を抱えているため、Petro Coinの価値変動は非常に強いと懸念され、一般の通貨として安定した価値という属性が否定される声もどんどん高まっているようだ。

 


 

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