【The Staking 研究レポート】第四部 Stakingのリスク分析

2019-11-12

Stakingのリスク分析

第四部 Stakingのリスク分析

4.1 技術的なリスク
4.2 中央集権型のリスク
4.3 時価総額の変動によるリスク
4.4 委託サービスを提供するノードによるリスク
4.5 流動性によるリスク
4.6 第四部のまとめと結論

第一部 コンセンサスアルゴリズムの選択ー合意形成の仕組みへ
第二部 PoS類のコンセンサスアルゴリズムとStakingの原理
※第三部 Staking産業

4.1 技術的なリスク

「利害関係のない立場」の問題はうまく解決されていないのが現状である

第二部で紹介したように、PoS類のコンセンサスアルゴリズムには、「利害関係のない立場」という問題点がある。これを解決するために、Slashシステムが導入されるようになった。一方でブロックチェーンの安全性については、「攻撃にかかるコスト」と「攻撃に成功したことから得られる利益」という2つの要因の影響を受けており、特に後者の利益が前者より上回ると、ノードが不正行為を行う可能性は高くなる。Slashシステムが導入されたものの、「攻撃にかかるコスト>攻撃に成功したことから得られる利益」という状況を常に確保することが難しいため、「利害関係のない立場」の問題はうまく解決されていないのが現状である。

4.2 中央集権型のリスク

Stakingが第三者の委託サービスに依存することに中央集権型のリスク
が想定されている

第三部で紹介したように、個人投資家や専門性のない機関及び企業がStakingに簡単に参加できるのは、Stakingのノード委託サービスあってのことだ。PoSでは、マイニングを行う設備を購入する必要がなく、トークンを第三者に預けることだけで、Stakingに参加することができるようになった。
しかしながら、前述の現象により、ブロックの生成や認証を担うノードは数が大幅に減少していく恐れもある。例えば、「あるPoSを採用するブロックチェーンには、1つのノードしか存在しない」、「Stakingに参加する投資家らは、このノードにトークンを預けるだけで、利益が得られる」、そして「この唯一のノードは投資家にサービス料を請求する」という前提を想定する。この場合では、ノードを維持するコストが既に決まっており(ハッシュ計算はいらないため)、預けられたトークンの数が多いほど、限界費用は安くなる。このような傾向に対して、大量のトークンを少数ノードに流入した結果、中央集権になるという問題点がもたらされると考えられている。従って、投資家はプロジェクトのStakingに参加する前に、ノード数及び各ノードに預けられたトークンの数を予め確認するほうがよいだろう。

4.3 時価総額の変動によるリスク

投資家の事実収益は、収益率とトークン価格によって決定される

収益率の本質はインフレ率のことである。インフレ率が上がると、投資家が得られるトークンの数も増えていく反面、トークン価格を下落させる効果もある。そのため、インフレ率のほか、該当プロジェクトの時価総額、チームの質、仮想通貨市場傾向など様々な影響要因に注目しなければならない。最悪の場合では、Stakingに参加し、利子を得られるどころか、元金を全損するケースもある。

4.4 委託サービスを提供するノードによるリスク

Stakingに参加する前に、ノードの安定性を確認する必要がある

同じ第三部で説明したように、Stakingノード委託サービスには、中央集権型と分散型の類型がある。特に中央集権型では、投資家がトークンの保有権を委託ノードに譲渡する。もしStakingノード委託サービスの提供側は不正行為を行い、その後姿を消したら、投資家にすべての損失を被らせることになる。またSlashシステムの触発されると、担保として預けたトークンが差し押さえられることから、一部の損失は投資家に及ぶ恐れもある。そのため、委託サービスを提供するノードの条件を確認し、慎重に選ばなければならない。一方で分散型では、トークンの所有権を譲渡しないため、秘密鍵を漏らさない限り、心配することはない。

4.5 流動性によるリスク

ロックされたトークンを随時回収できない時に生じる流動性によるリスク

「ロング・レンジ攻撃」を防止するため、通常では、Stakingに参加すると、トークンを一時的にロックする必要がある。ロック期間は3日間か90日間など様々である。該当仮想通貨が上昇していくことや仮想通貨市場総額が上昇すると予測されている場合では、流動性によるリスクがあまり発生しない。それに対して、仮想通貨市場総額が明らかに下落する傾向を見せた場合では、投資家がロックされたトークンに対する損失を止める操作を実行できず、大きなリスクを負うことになる。

 

第四部のまとめ

第四部では、Stakingに関連するリスクを簡単に紹介した。Stakingに参加する前に、収益率を見るだけではなく、そこに伴うリスクを無視してはならない。Stakingプロジェクトへの調査分析を独自で行い、冷静な判断をすることは、安定な収益を確保する前提となると言えるだろう。

 

結論:

①PoSが誕生した背景・理由については、PoWによる無駄なエネルギーの消費を解決することにある。ただし、PoWのように、信頼できる安全性と高い安定性を実現するために、更に複雑な仕組みをPoSの合意形成に導入することが求められる。

②コンセンサスアルゴリズムの類型を問わず、できるだけ低いエネルギーの消費だけで、「高性能」、「安全性」及び「分散型」を実現することが共通点として認識されており、結局は、実際の需要に応じて合意形成の仕組みを決定することが一般的である。

③Stakingの概念は、Proof of Stake(PoS)の中のStake(権利)という言葉から由来する。StakingはPoSでの投票、認証などに参加できる権利によって、収益を獲得する一連の行為を指す。

④Stakingエコノミーの中、投資家の事実収益はインフレ率だけではなく、市場状況、担保率及び価格変動からの影響を同時に受けている。

⑤Staking産業は既に一定の規模を形成した。投資機関、取引所、ウォレットも積極的にStakingに参入しており、産業の規模は今後更に拡大する見込みである。

⑥Stakingには「利害関係のない立場」と「ロング・レンジ攻撃」という2つの問題点がある。その中、「利害関係のない立場」の問題はうまく解決されていないのが現状である。

⑦Stakingは中央集権になりやすいこと、価格変動によるリスク、委託ノードによるリスクなどの課題に直面している。投資家は独自の判断を行い、冷静な分析が必要である。

 


 

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