【The Staking 研究レポート】第二部 PoS類のコンセンサスアルゴリズムとStakingの原理

2019-10-31

The Staking

第二部 PoS類のコンセンサスアルゴリズムとStakingの原理

2.1 PoS類のコンセンサスアルゴリズムの原理
2.2 Stakingの原理
2.3 Stakingの収益-ビジネスモデル

第一部 コンセンサスアルゴリズムの選択ー合意形成の仕組みへ

2.1 PoS類のコンセンサスアルゴリズムの原理

PoWの無駄なエネルギー消費問題を解決するために、誕生したPoS

ハッシュ関数は、一連の計算過程を通じてほとんどの内容を二進コードに切り替えることができる。この過程は、ランダム性、不可逆性(元と同じ状態に戻すことができない)などの特徴が持たれている。通常のハッシュ関数には、MD4、MD5、SHAなどが含まれる。PoWの場合では、ハッシュ計算がランダムにノードを選出することを確保する。ノード選出のロジック公式は以下の通り:

Hash(BlockInfo,nonce)<Target

ビットコインを例として説明すれば、マイナーはNonce値を調整しながら、ハッシュ計算を行う。そして、Targetより小さい値(計算結果)に該当すると、ブロックを生成する権利を獲得したことを意味する。(ここではネットでのアナウンスやフォークなどは別問題として深く触れない。)

PoWは簡単な流れでノード選出のランダム性を保証している。しかし、無意味なハッシュ計算による大量のエネルギー消費については、従来から厳しく批判されていた。そこで、2011年にPoSの概念がBitcointalkで提起された。翌年の2012年、PeerCoinがPoSの運用を実現させたが、PeerCoinは完全にPoSを採用するのではなく、PoS+PoWを実装した。このロジック公式は以下の通り:

Hash(BlockInfo,Timestamp)<Target*Coinage

当時、PeerCoinは合意形成の仕組みに「Coinage」(コインの年齢)の概念を初めて導入した。「Coinage」とは、ノードが所持する仮想通貨と所持時間の長さの積を指す。その結果、積の値が大きいブロックを生成するノードが選ばれる確率が高くなり、ハッシュ計算という唯一の方法から抜け出した。ただし、PeerCoinは無駄なエネルギーの消費を大幅に改善できないため、NextCoinをはじめとする一部のトークンは完全なPoSを採用し、ハッシュ計算によるブロックを生成する権利を争う方法を徹底的に中止した。完全なPoSのロジック公式は以下の通り:

Function()Target*Balance

完全なPoSでは、大量のハッシュ計算の必要がなくなり、「Stake」が決定的な影響力を持つランダム関数などを用いてブロックを生成するノードを決定するようになったため、無駄なエネルギーの消費を解決することも可能となった。(PoSの問題点について後述)PoSの基本的な流れは以下の通り:

ノードの稼働トークンを担保として預ける認証者の選択ブロック生成アナウンサーブロックの認証

PoWに対して、PoSは性能やブロックを生成するスピードが向上したが、大規模な商用化が実現できるまでに至っていない。その理由は、ノード間の膨大なデータを同期する必要があるほか、ノードのCPU性能、ネットワークの遅延などの客観的な条件によって制限されると考えられている。そこで、開発者らがPoSに基づいたDPoSの概念を提起した。DPoSでは、ノードになる条件を厳しく制限し、トークン保有者が投票を通じてスーパーノードを選出し、このスーパーノードが情報の認証やブロックを生成する権利を有する仕組みで、PoSよりも性能が向上した。しかし、少数のスーパーノードによる中央集権制の問題が持たれるようになり、スーパーノードが共謀し、不正行為を行う恐れがあると指摘されている。

PoS類のコンセンサスアルゴリズムは、無駄なエネルギーの消費を抑えるのに有効的だが、いくつかの問題点もある。その問題点とは、「利害関係のない立場」や「ロング・レンジ攻撃」である。「利害関係のない立場」とは、ノードが複数のインターチェーンのブロック生成に参与する際に、多くの収益を得るにも関わらず、相応のリスクを負わないという点において、不正行為を行う際のコストの低さを指す。「ロング・レンジ攻撃」とは、ネットワーク上の総トークン数の51%を所持することで、新たなインターチェーンを作り元のデータのすり替えを行うことを指す。

では、PoSの利点を保ちながら、これらの問題点を如何に解決するか。業界はイーサリアムの「Casper」をはじめとする、新世代のコンセンサスアルゴリズムに注目し始めた。「Casper」では、「Slash」(削減)を導入することで、不正行為を行ったノードに対する処罰をすることで「利害関係のない立場」を解決する。また、「最終確定機能」も整備し、確定したブロックはどんな理由であっても改ざんされることが実現した。

近年、PoSの発展によって仕組みも徐々に整備されてきており、CosmosやPolkadotなど人気プロジェクトもPoSを採用している。このように、業界がPoSへの理解を深めることが、大規模な応用実現に繋がっている。同時に、PoSに緊密に関連する「Staking」も浮き彫りになった。

2.2 Stakingの原理

Stakingは依然としてノードを稼働させ、ブロック生成や情報認証に参加する。第一部で紹介したように、「Staking」の概念は、「Proof of Stake(PoS)」のStake(権利)から由来すると言われている。PoSを採用するプロジェクトでの保有する権利により収益を得る一連の行為を指す。

マイナー(発掘者)とトークンの保有者は別々の存在として扱われるPoWに対し、PoSでは、ある数のトークンを担保としてシステムに預け、一連の活動に参加することで収益を得られるため、トークンの保有者はチェーンの安全に直接関係している。また、PoSでは、ハッシュ計算が必要ではないものの、ブロックを生成することや情報認証を行うためにノードを稼働させる必要がある。したがって、ブロックチェーンの性能を確保するために、ノードになる条件を厳しく制定したプロジェクトも少なくない。

図2-1(出典:TokenInsight)

新世代のPoSでは、「利害関係のない立場」を解決し、ネットの安全と安定を維持するために、Slashを導入した。Cosmosを例として言えば、オフライン、チェーンのフォーク、情報のないブロックを生成することなどのノードの不正行為が発覚されると、Slashが不正行為の程度(罪の重さ)によって、システムに担保として預けられたノードのトークンの一部若しくは全部を差し押さえる。

2.3 Stakingの収益-ビジネスモデル

投資家の収益は、インフレ率ではなく、プロジェクトの時価総額によって決定する。

PoWでは、トークンの発行上限が限られており、この仕組みで発行されたトークンが「デフレ型トークン」と呼ばれる。一方で、PoSでは、発行上限がなく、トークンの追加発行によって、ノードにインセンティブを与える仕組みであるため、この仕組みで発行されるトークンが「インフレ型トークン」と呼ばれる。ただし、PoWでは、トークンが全部発掘されるまでに、その流通量が増加するため、PoWにおいても「一時のインフレ期間」が存在すると考えられている。

現時点では、プロジェクトのStakingインフレ率は約1%~158%の程度である。たが、インフレ率だけで投資家の収益を正しく反映することはできない。他にも、担保率、資金流入、相場状況などの要因がある。一方で、収益率、担保率、インフレ率という3つの関係だけを考えると、投資家が所持するトークンはStakingに参与しない限り、収益は得られず、インフレ率は既存のトークンの総量によって算出されることから、Stakingの収益ロジック公式は以下の通りとなる:

収益率=(トークンの総量*インフレ率)/(トークン総量*担保率)=インフレ率/担保率

このように、投資家の収益がStakingに直接関係しているため、この仕組みはより多くの投資家をエコシステムに参加させるように促進する機能を果たしていると言えるだろう。ただし、既存の多くのトークンは通貨として流通することができず、単純に資産として取り扱われるため、トークンの収益率と投資家の実際利益には、かなりの差異が発生するケースは少なくない。

図2-2(出典:TokenInsight)

図2-2が示したように、プロジェクトの時価総額が上がると、投資家の収益も増加する。逆に、プロジェクトの時価総額が下がると、投資家の収益が減少する。また、プロジェクトの時価総額が大幅に減少した場合では、投資家の収益率はマイナスになることも発生する。

プロジェクトの時価総額は、多くの要因によって左右されるため、収益率だけで投資の対象を選ぶのではなく、市場トレンド、プロジェクトの質など、多角的に分析するほうがよいだろう。要するに、PoSの仕組みでは、投資家にとってのインフレ対策がStakingに参加することにある。ただし、長期間に渡っても、インフレ率の高いプロジェクトに対して、そのトークンの価値も大幅に下落するに注意する必要がある。

第二部のまとめ

第二部では、PoSの原理とStakingを紹介した。PoSは無駄なエネルギーの消費を解決するために提起されたが、PoWからPoSへの移行においては、多くの課題が依然として残っている。PoSを採用するプロジェクトが増加するなか、その将来性については期待できる。個人投資家は収益率だけで投資の対象を判断するのではなく、プロジェクトの質や市場趨勢などの様々な側面にも留意するほうが良策である。

次回は「Staking 業界」について解説していく。


 

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