【The Staking 研究レポート】第三部 Staking産業

2019-11-06

Staking産業

第三部 Staking産業

3.1 Staking産業の紹介
3.1.1 Stakingプロジェクトの紹介
3.1.2 Staking技術提供業者
3.1.3 取引所
3.1.4 ウォレット

3.2 Stakingノード委託サービス

第一部 コンセンサスアルゴリズムの選択ー合意形成の仕組みへ
第二部 PoS類のコンセンサスアルゴリズムとStakingの原理
※第四部 Stakingのリスク分析

3.1 Staking産業の紹介

Staking産業の時価総額が継続的に上昇する傾向が見られる

Staking Rewardsのデータ(2019年8月15日時点)によると、Stakingを取り扱うプロジェクトの時価総額は137億ドルを上回り、担保率は42%、ロックされた金額は57億ドルをオーバーしたことが明らかになった。Cosmos、Algorandなどプロジェクトのメインネットの稼働に伴い、Staking産業の時価総額が継続的に上昇する傾向が見られる。

Staking産業が規模の形成及び規模の拡大へ

業界では、Stakingの導入が盛んになっている。Stakingプロジェクトのほか、ウォレット、仮想通貨取引所、Staking技術提供者、情報提供業者などが業界規模を拡大していく。

・Stakingプロジェクト:EOSIOSTCOSMOSPCHAINTRONCPCHAINIRISnetMultiVACCyberMilesなど
・Staking技術提供業者:HashQuarkStakeWith.UsEverstakeなど
・Stakingデータ提供業者:Stakingrewords.com、TokeninsightStakingService、DARCなど
・取引所:CoinbaseHuobiKuCoinOKExBiboxなど
・ウォレット:CoboHyperPayBEPALHashKey Hubなど

3.1.1 Stakingプロジェクトの紹介

トークンの保有者である限り、該当プロジェクトのエコシステムの構築、安全性の維持、利益の獲得に関与することができるという点はPoSの特徴である。一方で、こうした権利は、インフレ率、ロック期間、認証ノードの選択、Slash制など、様々な影響を受けている。そのため、各プロジェクトの特徴を把握することが、より正確な判断を下すことに繋がっていると言えるだろう。

①COSMOS

Cosmosは、2016年にTendenmintチームによって発起されたブロックチェーンの相互運用性(互換性)を実現するプロジェクトである。Cosmosでは、「Hub-Zone」と呼ばれる方法でその仕組みを築いている。一つのHubは一つのチェーンに該当し、それぞれのチェーンの台帳の仕組みは同様であるため、記録されたデータの相互運用が可能となった。一方でHubに繋がるZoneがサブチェーンの役割を果たしており、それぞれのZoneはIBC(Inter-Blockchain Communication Protocol)を用いて、その相互運用を実現する。Cosmos Hubは同プロジェクトにおいて、相互運用を実現する初のHubであり、ATOMは、同プロジェクトが発行するトークンである。

Cosmos公式サイトの資料によれば、Cosmosのインフレ率は7%~20%あたりで維持し、ATOMの担保率が高いほど、インフレ率は減少する傾向が見られる。現時点では、7.16%の水準で少し変動している。このように、インフレ制が導入されたことから、トークンを保有し、その価値の上昇を待つという投資戦略は、Cosmosにおいて最適ではない。むしろStakingに直接参与することや代理業者にトークンを預けることが比較的理想な投資方法になる。既存のデータによると、Cosmosの収益率は10.47%であり、トークンの第三者に預け、Stakingに参加する比率は約83%となっている。

②IOST

開発者向けの高性能パブリックチェーンを目指している同プロジェクトは、コンセンサスアルゴリズムと仮想マシンに対する改善やアップグレードを行っている。IOSTは、「PoB」と呼ばれる合意形成の仕組みを利用することで、無駄なエネルギー消費を避け、少数の計算力による全ネットワークへのコントロールを防止する機能が備わっている。また、イーサリアムの仮想マシンEVMと比べると、IOST V8VMは一部のモジュールを提供し、開発者に利便性のある開発環境を提供するほか、スマートコントラクトの稼働コストの削減も図っている。更に、トークンの保有数だけで、利益の分配を行うのではなく、ノードになるハードルを下げ、そのノードの貢献度によって利益を与えて、より公平性のある仕組みが設けられている。

③MultiVAC

MultiVACは、シャーデイング(Sharding)技術を中心的に取り扱うパブリックチェーンである。従来の仕組みと異なり、同プロジェクトのネットワークには、准ノード、ブロック生成のノード、記憶ノードによって構成される。准ノードはネット内部の普通ユーザーに該当し、取引の発起側として動く。UTXOを採用するブロック生成のノードは局部的な取引認証とブロック生成の機能を果たす同時に、各ノード相互影響のない、独立した存在となっている。一方で、Markle Treeに基づくデータベースの中では、データの記憶権とコントロール権が分けられているため、記憶ノードはデータを保存できるものの、データを改ざんすることができないという特徴が持たれている。

3.1.2 Staking技術提供業者

PoSの仕組みでは、個人投資家、機関投資家及び一部の企業は、最低トークン保有量、設備の性能、ネットワークの運営状況などの理由で、直接Stakingに参加することができない場合がある。そのため、彼らは「Staking as a Service」を提供する第三者に、トークンを預けることで、利益を獲得するという方法に目を向けている。ここでの第三者は、「Staking技術提供業者」と呼ばれている。

①HashQuark

HashQuarkは、香港に拠点を構えるHashkey Group傘下のStaking技術提供業者である。現在では、サービスがVET、EOS、Cosmos、ChainXなどのパブリックチェーンをカバーしている。

3.1.3 取引所

Stakingの概念が誕生する前に、投資家が取引所に預けているトークンによる収益はほとんどない。しかし現在では、Stakingによる収益を取引所のユーザーに直接付与し、より多くのユーザーを惹きつけることも可能となった。

①Coinbase

Coinbaseは最大級の仮想通貨取引所の一つとして知られている。近年、Staking領域においても積極的に配置を推進し、ホスティングサービスを提供する「Coinbase Custody」を設立した。Coinbaseが提供するStakingサービスは、Tezosから始まり、CosmosやPolkadotなどのプロジェクトまで拡大していく予定である。

②KuCoin

KuCoinは、「Soft-Staking」という概念を初めて提出した取引所である。現時点では、「Soft-Staking」のサービスに該当するトークンには、COSMOS、EOS、TRON、IOST、NRG、ONION、NEBL、NULS、TOMO、EOSC、LOOMが含まれている。また、Stakingに預けたトークンを随時回収できるという点もKuCoinが提供するサービスの特徴である。

3.1.4 ウォレット

ウォレットには、市場に流通しない仮想通貨やトークンが大量に保管されている。この現象に対して、ウォレットの運営側は、多くの金融サービスを提供し始め、直接Stakingに参加できる入口も設けている。

①Cobo

Cobo StaaS(Staking as a Service)は、Cobo Custodyが提供するStakingサービスである。20以上のパブリックチェーンをサポートし、DASHやIoTeXを含む700を超えた仮想通貨やトークンを保管することが実現した。収益率は6%~40%の程度である。

②HashKey Hub

HashKey HubはHashQuarkが提供する一般利用者向けのStakingプラットフォームである。トークンの種類を問わず、Stakingから派生する金融サービス簡単に参加することができる。BinanceやPoloniexが提供するサービスもウォレットに導入し、利用者の利便性を図っており、ATOM、IRIS、CMTといった主流なPoSを採用するプロジェクトもサポートしている。

3.2 Stakingノード委託サービス

PoWのマイニングより、Stakingのほうが委託サービスに依存する傾向が見られる

第二部で紹介したように、PoSは大量なハッシュ計算を免れるにも関わらず、ブロック生成や認証といった役割を果たさなければならない。通常では、Stakingに参加するには、2つの条件を同時に備える必要がある。1つ目はノードの稼働で、もう1つはトークンを担保として預けることである。特に1つ目に関しては、24時間のノード稼働が必要とされており、不正行為を行うことも禁じられている。このルールに違反した場合では、Slash制によってシステムに預けたトークンの一部若しくは全部を差し押さえられることになる。このように、Stakingに直接参加するハードルが高いため、Stakingノード委託サービスが現れ、一般利用者でもStakingに簡単に参加するチャンスを提供している。しかし、近年にStakingノード委託サービスにより、中央集権制の恐れをもたらす問題も深刻になっている。

Stakingノード委託サービスには、中央集権型と分散型の類型がある。その違いは以下の図3-1の通り:

図3-1(出典:TokenInsight)

分散型の委託サービスの場合では、投資家がトークンに対する所有権を保留し、それ以外の権利を譲渡することで利益を獲得することが認められている。しかし、秘密鍵を漏らす恐れがある。一方で、中央集権型の場合では、トークンをノードに預けることを要求さており、投資家は操作の自由度を損なわれるが、利用の利便性も向上する。ただし、ノードの安定性に対する要求が厳しくなる側面もある。

個人投資家や専門性のない機関及び企業にとっては、Stakingに直接参加することが難しいため、委託サービスへ需要が高まっている。それに対して、取引所、ウォレット、マイニングプールにとっては、一般利用者がStakingに参加し、トークンを預けることが既存のサービスに重ねる部分は多いため、業者らはStakingに関連するサービスも積極的に導入するようになった。

第三部のまとめ

第三部では、Staking業界について紹介した。取引所、ウォレット、技術提供業者などがStaking領域に参入し、第三者としてノード委託サービスを提供している。
その背景には、
①一般利用者は、Stakingに直接参加するハードルが高い。
②トークンを預けるという点は、業者の提供するサービスに重ねる部分が多い。
③Stakingにノード稼働のコストは予め予測でき、預けたトークンの数が多いほど、利益率は高くなる
という3つがある。

 


 

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