【仮想通貨取引所の取引量調査レポート】市場の取引状況と分析方法

2019-11-13

仮想通貨取引所の取引量調査レポート

要点

TokenInsightは、日本時間の9月3日午前1時1分から9月21日午後23時35分にかけて、Bitwiseが提出した比較分析方法を参考にしながら、冪乗則*に基づく独自の分析モデルを用いて、主流な仮想通貨取引所24社に対する調査を実施した。その結果、8社の仮想通貨取引所の「本当の取引量」が取引総量の30%にも至っていないことを明らかにした。

1.市場の取引状況
2.分析方法

 

1. 市場の取引状況

取引量を水増しする現象は広く存在する

Bitwise Asset Management(以下:Bitwise)は2019年3月、米国証券取引委員会(以下:SEC)にビットコインETFに関するレポートを提出した。このレポートでは、ビットコイン取引における「本当の取引量」が占める比率が非常に低く、およそ2.7億ドル(約取引総量の4.5%)に過ぎないと指摘された。また仮想通貨取引所200社の内、本当の取引量を反映させたデータ提供ができるのは10社だけであることが分かった。

取引所10社

 

第三者機関、取引量の水増しが存在することを証明

2019年7月、市場流動性とOTC取引を扱う企業Alameda Research(以下:Alameda)は6つの基準を用いて、取引所で行われた取引の信用性に対する採点を行った。その後、同社は市場の仮想通貨取引総量の83.3%が偽造された取引量であることを推定した。(2019年10月16日時点)

本当の取引量の重要性

投資家にとって、仮想通貨取引所と投資対象の選択は投資戦略の前提条件である。取引量が多いほど、取引所の実力を反映できるが、そのデータの信ぴょう性も疑われている。一方で、Bitwiseのレポートが公開された後、各取引所が技術革新を推進したことにより、従来の手段で本当の取引量を測ることが難しくなっている。またAlamedaが採用する方法には、更に詳細なデータが扱えないという弱みもある。そのため、投資家が本当の取引量が反映されたデータを強く求めているのが現実である。

2.分析方法

2.1 データに基づく分析モデル

比較的信用性のある取引量を測定することが可能となる

取引所であるCoinbase Pro、Poloniex及びBitstampは、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が発行するBitLicenseを持ち、NYSDFS仮想通貨規制体系によって管理されている。またBitwiseとAlamedaのレポートでは、上記の3社が比較的信用性のある取引量のデータを提供しているとの見解も示したため、ここでは、3社のデータを参考しながら、分析方法を解説していく。

図2-1は、Poloniexと取引所Aが占める取引量比率の分布である。取引所Aと比べると、Poloniexの先頭部の分布は一時的に広がったが、尾部は非常に穏やかになっている。言い換えれば、Poloniexでの取引には小口取引が圧倒的に多い。それに対して、取引所Aの場合では、分布のトレンドが穏やかに見えるが、大口取引が占める比率は減少していく傾向が見らないため、偽装売買を行った疑いが高くなると考えられている。

TokenInsightは独自のシステムを用いて、主流な仮想通貨取引所で行われた取引を記録し、こうしたデータへのモデル分析を行ったことで、各取引所の取引頻度の分布データを把握した。以下は、偽装売買の疑いがあると見られる取引所の分析図となっている。

図2-3、図2-4の場合では、仮想通貨取引所が偽装売買を公然と行っていたことが判断できるだろう。さらに、一部の取引所がこのような不正行為を隠ぺいするために、いわゆる「技術の革新」を実施した。これに対して、従来の分析モデルを変更しなければならない。

変更前:

冪


変更後:

研究結果によると、冪乗則の場合では分布図の前半部分には屈折が生じ、後半部分には理想的な線型性が出現するのが通常である。この規則を参考にしながら、Poloniexへの分析方法を変更した。更にCoinbase ProとBitstampのデータも対比分析に加え、図2-5を作成した。

もしある取引所が一定の価格付近で偽装売買を繰り返すと、分布図は「V」型の屈折が現れやすくなる。一方で大口の偽装売買を大量に行うと、分布図の後半部分は明らかに沈んでいく傾向が見られる。そのため、上記の分布は冪乗則に合っていることが判明する。

図2-7は、「V」型の分布が現れ、特に分布図の後半部分は沈んだ状態となっている。このような分布は冪乗則に合わず、取引所が偽装売買を行ったと推測できる。以下の2つは、偽装売買を隠ぺいした例である。

2.2 取引記録に基づく比較方法

偽装売買を見通す直観的方法

前述のように、Bitwiseのレポートが公開された後、各取引所が技術革新を推進したことにより、従来の手段で本当の取引量を測ることが難しくなっている。しかし、取引記録に基づく比較方法(定性分析)を採用し、取引所に偽装売買が存在するかどうかを判断することが可能となる。

2.2.1 整数規則

人間は不規則の数よりも、むしろ整数を選択する傾向があると言われている。例えば、0.19BTCや0.21BTCといった不規則の金額を売買するよりも、0.20BTCという整数を売買する傾向が見られる。そのため、我々は各取引所の取引記録を追跡し、取引頻度(統計上の回数)の対数分布に対して分布を行った。

2.2.2 取引ペイとクロス取引所ー相関関係分析

仮想通貨の価格は市場に映っており、取引量も価格変動の影響を受けている。同じ取引ペイであっても、異なる取引所において、その取引量には差異が生じる。しかし、マクロな視点に立てば、全体の趨勢を捉える可能性もある。一方で、偽装売買の場合では、市場状況をしっかり把握することができず、本当の取引を真似することが困難である。言い換えれば、ある取引所には偽装売買が存在すると、その取引量の変化趨勢は別の取引所と全く逆方向に進行する可能性があると考えられている。

以上のように、本文は仮想通貨取引所の取引量調査を紹介した。市場の取引所については、偽装売買が広く存在しており、取引量の信ぴょう性が疑われている。分析方法については、冪乗則に基づくモデル分析を制定し、整数規則と取引ペイとクロス取引所ー相関関係分析という方法を紹介した。次回は、上記の方法を採用し、主流な仮想通貨取引所への考察を詳しく説明していく。

 


注 ①冪乗則:「ある観測量Yが別の観測量Xのべき乗に比例する(Y=aXk)」という関係を指す。

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