STOの実相-「合法化」・「資金調達」・「流通」をめぐる困難(第1部)

2019-04-01

編集:Chainnode,Blockchain Business Community

STOはセキュリティ・トークン・オファリングの略称であり、ICOより進化した資金調達の手段として、監査機関の規制を受けて合法化を実現させようとしている集金プロジェクトである。新たな仕組みである為、既存の資金調達方法にはまだ大きな影響を及ぼしてはいないが、現在、急速に発展を遂げた結果、完全なるエコシステムが形成された。

本文では、大きく三部に分けて、業界内観察や従業者のインタビューなどを通じての詳細なSTOのエコシステムを紹介することを目的としている。第一部ではSTOの概要を、第二部ではSTOのエコシステムについて検討し、全体のプロセスの参入者の現状を紹介する。最後の第三部ではSTOが直面する課題の検討と、その詳細について議論していく。

 

第1部  STOの基本

STO:セキュリティ・トークン・オファリング(Security Token Offering

STOは金融商品関連法に従って発行される証券の一種であり、「Security」は証券のことを指し、規制の下法令遵守が必要であることを、「Offering」は、資金調達の手法の一種であることを表している。「Token」という言葉により、これがブロックチェーン技術の産物であり、既存の証券の発行や流通の形式を変えることを目的としていることを示している。従って、STOのキーワードは合法性・資金調達・流通だと考えられる。

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1.1 ICO/IPOに比べSTOは優れているか?

STOは新たな資金調達の方式であるため、既存の資金調達方法と比較すればメリット・デメリットがわかりやすくなると考えられる。私募、IPO、ICOなどと比べると、STOは低コストでより高額な資金調達ができる点が評価されている。尚、ここでのコストとは、資金、時間、規制などを考慮したものである。より多くの資金を調達しようとする時、多くの投資家とのつながりは必要不可欠であり、これはクロスボーダー取引、流通性の向上、対象とする投資家の基準を下げるなどの手段によって実現可能である。この具体的な結果を以下表1に示す。


表1では、一般的な項目での比較を示した。STOの主催者やプロバイダーは常にこれを用いてSTOのメリットを明示する。コスト面では多少ずれが生じるが、全体的に見るとSTOは規制を受け入れる姿勢があり、合法的なICOプロセスだと考えられる。また、IPOと比べると、STOは調達時間が短く、所要コストも減り、更にはクロスボーダーも可能であり、より効率的な資本市場を提供できるとされている。

 

1.2  STOの意図は、「資産のセキュリティ化」から「証券のトークン化」へ

STOの目的は資金調達であるが、その中核はトークン化だと言える。資金調達だけなら、「資産のセキュリティ化」で十分であり、資産を分割してセキュリティ(担保)にし、これをベースとした資産を用いて資金調達を行うだけで事足りる。しかしSTOは証券のトークン化を推進しており、これは既存の紙媒体のプロトコルをブロックチェーン技術を利用することで暗号化されたトークンにし、STOをプログラミング可能な金融商品とするためである。一般的にトークン化にはいくつかの利点があるとされており、それを以下表2にまとめた。

上記の利点は仮想通貨市場では既に知られているが、規制を受け入れたSTOがこの長所を維持できるかはまだ疑問である。

 

1.3  合法性・資金調達・流通の実現はどうすればいいのか

STOを含め、証券を発行し資金調達をする行為では、合法性・融資・流通は不可欠である。
合法性:監督する機関からの承認を得て、該当地域の法律に従うことである。STOを監督する機関は、仮想通貨を実用型とトークン型に分類し、それに対する規制条例を策定する政府機関である。STOに対する法律は制定されていないため、従来の私募に対するものが適用されているのが現状である。

融資:STOの根本的な目的である。合法性を重視するため、該当国の規制に準じた投資家のみに、私募に類似する手段で資金調達し融資活動を行う。
流通:資金調達において、流通性は投資家にとって非常に重要である。STOが国を超えて流通しているという点は、従来のセキュリティとの最大の相違点である。

STOのプロジェクトを準備するには以下の問題を考慮しなければならない。

①トークン化が適用できるものは何なのか。また資産トークン化の価値は何で、収益はどの程度になるのか。
②合法性を重視するため、トークンを発行する地域の規制を知ることは重要であり、その規制に準じた投資家を探すにはどうすればいいか。VIE(Variable Interest Entities)の連結を構築する必要はあるのか。
③適切なエコシステムに加入するために、どの法律事務所や引き受けを行う証券会社を選ぶか。ウォレットや信託、テクノロジーコンサルテーションやSTO取引所はどこにすればいいか。

以上の問題の過程詳細を表3に示したが、この全行程には3-6か月がかかると予想される。

1.4 実際に行われるSTOプロジェクト

Robot Cacheは、世界初のビデオゲームに対するブロックチェーンをベースとするデジタル市場を運営するSTOプロジェクトである。1933年米国証券法に基づきReg D’セクション506(c)として資金調達を行い、2019年第1四半期には「Reg A+」の公募を開始することを計画している。

また、BANX ONEはAIおよび投資銀行業務としてのサービス(IBAS)を使用し、資産所有者および投資家が流動性のない資産を、取引可能な有価証券に変換するためのフィンテックエコシステムを運営するSTOプロジェクトである。これによって、すべての資産所有者が自分の証券を完全に自分なりの方法で検証することができる。BANX ONEの資金調達目標は4千万ドルで、現時点では約500万ドルを集金した。このSTOプロジェクトによる資産の証券化はSEC、FINMA、BaFin及びFCAなどのいくつかの規制機関に完全に準拠していた。

 

以上のように、STOの誕生についての合理性を検討し、その背後にある仕組みを提示することで、その理想的な側面を述べた。一方、第2部では、残酷な現実に戻り、STOをめぐるもう一つの側面に触れていこう。

 

・関連記事:STOの実相-「合法化」、「資金調達」、「流通」をめぐる困難(第2部)

 


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