Tether(テザー) 不正運用やUSDTの誤発行などの疑惑浮上

2019-08-07

Tether

ステーブルコイン

Tetherが発行するUSDTをめぐる疑惑は今までにもよくあった。主に発行側に対する信頼問題、時価総額が急増する背後に資金の流れ、引当金勘定の透明化、一方的で不当な利用規則、不正アクセス被害などの問題が取り上げられた。一方で、USDTがステーブルコインの普及において一定の役割を果たしたと評価され、特にボラティリティの高い2018年には、市場のリスクを回避する道具として一定の有用性があると言われている。しかし最近、Tetherがマイナスの情報に悩まされているようだ。

BitfinexとTether

2019年4月、米ニューヨーク州検事長事務局(NYAG)が投資家への詐欺や「Martin Act」という法令に違反した疑いとして、BitfinexとTetherを地元裁判所に訴えたことは話題に起因した。同年5月にUSDT不正運用の疑いで批判を浴びているTetherが、ニューヨーク州最高裁の命令を受け、Bitfinexやその他事業への資産融資を禁止された。

ニューヨーク最高裁

7月29日にニューヨーク州最高裁判所はBitfinexとTetherに対する公聴会を開き、主に「サービスの提供範囲」、「USDTの不正運用」、「為替レート」という3点に注目した。しかし、その裁判で判決は出ず、90日間の延期とすることが決定された。

50億USDTの誤発行

2019年7月14日、米ドルと連動するステーブルコインのTetherは、TRONで50億ドルに相当するUSDTを誤発行し、その後すぐに焼却した。これに対して、Tetherは「桁数間違い」と説明し、「発行予定のUSDTは5000万だった」との釈明をした。この誤発行はすぐに対応がなされたにも関わらず、市場に大きな懸念が残った。

TRON-USDT

多くの人が、ステーブルコインは仮想通貨のボラティリティに不安定をもたらす恐れがあると認識している。いわゆる相場操縦のツールとなる可能性が取り上げられていた。また、TetherとBitfinexが8.5億ドルの損失を隠ぺいしたことが発覚した後、ステーブルコインに潜在するリスクが浮上し、大きな話題となった。

無担保のステーブルコインを大量に発行し市場に流入すると、仮想通貨市場への影響は致命的な結果を招くと、Alpari分析者である Maxim Parkhomenko氏が語った。同氏は「現在、USDTを無制限で発行し、それを通じてビットコインを購入することが可能だ。担保のないまま、ステーブルコインを発行するのは中央銀行に紙幣を発行する機械を追加するように簡単だ」と警告している。

USDTによる相場操縦への懸念

2017年には、USDTによるビットコインの相場操縦の疑いを扱った報道が既にあった。2018年には、米国司法部がBitfinexとTetherに対する調査を行い、問題の所在は、USDTの裏に米ドルが実在するかどうかをめぐるUSDTを担保する証拠の不透明性にあると指摘した。

USDT

Tetherは外部からの監査を通じてその引当金勘定を透明化しようとしているが、監査を公にする約束はしているもののいずれも拒絶あるいは中断している。その結果、無担保のUSDTを通じてビットコインを大量に購入したことが、ビットコインの価格が急騰した結果に繋がっていると考えられている。そのため、「ビットコインの上昇」と「USDTの発行量」の間に何らかの相関関係があると、多くの専門家が分析している。

USDT

一方で、銀行口座から仮想通貨取引所に資金を直接流入したことがブロックチェーンの中で反映されていないため、このような相関関係は、どのような通貨であってもあり得るとの解釈もあった。それにしてもUSDTの取引総額はビットコインを上回ったことが何回もあったため、この解釈に対して納得した人は所詮少数派だ。

Tetherの現在

ステーブルコインのUSDTと言えば、法定通貨と仮想通貨との同価交換に使われる道具で、1:1の比率で米ドルに連動するステーブルコインとして期待され、いわゆる米ドルのデジタルバージョンと言われている。利用者にとっては、USDTを通じて法定通貨を直接利用せずに仮想通貨取引の中に参与し、そこから利益を得るメリットがある。

現時点では、40億ドルを超えた市場規模がUSDTで反映されている。USDTの安全性に対する不安な声も高まっているが、市場の需要も拡大しているため、マーケットを独占していると言っても過言ではないだろう。例えば、CircleとCoinbaseの米ドル連動型のステーブルコインの時価総額はただ4億ドルであり、TUSDは2.2億ドル、PAXは1.76億ドルとなっている。その他、Cameron Winklevoss とTyler Winklevossが発行したGUSDは840万ドルに過ぎない。

これまでのマーケットシェアを占めている現状は市場の選択だと言えるだろう。一連の裁判の結果が今後のTetherにどれほどの影響を及ぼすか現時点では不明だが、利便性の高いTetherが依然として仮想通貨取引に利用されている。それにも関わらず、資金の流れ、審査透明性の欠如、USDTをドルに交換不能ななどのUSDTに潜在するリスクに留意する必要性もあるだろう。

 


 

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