シンガポール決済サービス法が可決、すべての取引所に対してライセンスを要求

2019-01-24

編集:Bplus,Blockchain Business Community

2019年1月14日、シンガポールの国会で電子決済の規制を強化する「決済サービス法案」が可決、成立した。

この法案は、シンガポール市場における多くの暗号通貨取引所ウォレット、およびOTCプラットフォームに直接影響を与え、リスク管理とコンプライアンスの両方から関連事業を包括的に規制するものである。
注意すべき点は、シンガポールに登録済みの機関だけで なく、シンガポールで実質的運営をしている機関は当該法案の規制範囲に属する。

またMASは、決済サービス法案が施行された際に、新しい規制への移行期間としてデジタルトークンの決済サービスを提供する事業者には6カ月の猶予期間を与え、その他の決済サービス事業者には12カ月の猶予を与える予定である。

– どのような事業が決済サービス法案の規制に属するか

この可決されたばかりの決済サービス法は、香港、オーストラリア、日本の関連法規を参考にし、これにシンガポールの既存の決済システム法(PSOA)と両替・送金業法(MCRBA)を統合したものである。この法案の下では、「指定システム」と「ライセンスシステム」の、2つの規制の枠組みが並行している。

指定システム」によって、MAS は経済の平穏発展を維持するために特定の決済システムを指定することができる。また、市場に独占企業が現れた場合、MASは他の一つの決済システムを指定し、競争に参加させることで、市場が独占されないようにする。

ライセンスシステム」はより柔軟 に市場に対応するために設けられた規制枠組みである。このシステムは、両替サービスライセンス(money-changing license)、標準決済機関ライセンス(standard payment institution license)及び、大規模決済機関ライセンス(major payment institution license)の三種類のライセンスを有する。当該システムは7つの事業を規制範囲に属させ、これらの事業のリスクを減らすことを目指す。


第一種類ライセンス
両替サービスライセンス(money-changing license)

両替サービスに限るため、その規制方向は現行のMCRBA法案と類似している。その事業の市場は相対的に小規模であるため、関わるリスクもそれほど高いわけではない。従って、当該ライセンスに関する規制範囲は 限られている。

第二種類ライセンス標準決済機関ライセンス(standard payment institution license)

上記7つの事業の、任意の組合せによるビジネスを監督するが、その決済あるいは振込金額については規制がある。決済口座発行サービスを電子的に提供する場合及び電子マネー発行サービスの提供については、シンガポール居住者に対して発行した電子マネーの金額、又は、その保管額が 1日当たり平均 500 万 SGD(約4億円)以下、あるいは月間の平均取引高が 300 万 SGD(約 2億4000 万円)以下の場合には、標準決済機関ライセンスが必要になる、というものである。この規定額は比較的少額であるため、ライセンスの申請もそれほど難しいことではない。これはベンチャー金融企業にサンドボックスのような緩い環境を提供するためである

第三種類ライセンス大規模決済機関ライセンス(major payment institution license)

決済口座発行サービスを電子的に提供する場合、及び電子マネー発行サービスの提供については、シンガポール居住者に対して発行した電子マネーの金額、又は、その保管額が 1日当たり平均 500 万 SGD(約4億円)を超える場合、あるいは月間の平均取引高が 300 万 SGD(約 2億4000 万円)を超える場合には、大規模決済機関ライセンスが必要になる。取引に関わる金額は大きくなりリスクも増加したので、ライセンスの申請は複雑になり、規制範囲も大幅に拡大した。

 

シンガポール国内における現行の法案は国内振込、商用調達及び支払型トークンサービスに対応していないが、決済サービス法の成立によって、その空白を埋めることが可能となり業界規範を正しく定める

例えば、キャッシュレス支払が可能な電子商取引プラットフォーム(例:Lazada、Carousellなど)は、商業用調達サービスプロバイダとして定義されており、ライセンスが必要とされる。

最も重要なのは、当該法案の成立によって、シンガポールはデジタルトークンに対して明確な規制を持つ国の一つになった、という点である。同法案に従うことで、すべてのデジタル通貨交換、ウォレット、及びOTCプラットフォームは、支払いベースのトークン関連サービスプロバイダに属し、アンチマネーロンダリングと関連する規制を満たし、ライセンスの申請が必要となった。

しかし、MASは、いくつかの支払いサービスにおいては比較的小さなリスクしかないため、「ライセンスシステム」の適用外となる場合があると指摘した。例えば、すでにライセンスを持つ金額機関においては、その現有業務の運営を確保するために展開したキャッシュレス支払及び暗号通貨の事業は決済サービス法案に規制されない。

シンガポールの暗号通貨事業はグレーゾーンから離脱、合法性が保障される決済サービス法案が可決された後、Huobi、Biboxなどの大型取引所はすでにライセンスの申請に着手し始めた。暗号通貨に関わる金額は非常に膨大であるため、上記取引所は大規模決済機関ライセンスを申し込む可能性が大きいと考えられる。

以下はBplusが整理した新法案に定められた申請要求である。

大規模決済機関ライセンスを申請すると同時に、取引所は反マネーロンダリングの標準を満たす必要があり、さらに技術安全の方面においては、MASの要求を満たさなければならない。その技術安全に関する要求にはプラットフォーム技術リスク管理システム、ユーザー認証、データ暗号化、サーバー攻撃の防止等が含まれる。これ以外にも、ライセンスの取り消しなどの処罰が課されないよう 、MASによる定期的な検査を受け入れ、違法な操作を回避することに力を入れるべきである。

上記の要求以外、取引可能な証券と同等な性質を持つトークン事業を運営するために、取引所は規制された市場オペレーター(RMO)ライセンスを取得後に事務展開が可能となる。

金融技術イノベーションにより、多くの新興支払い方法が市場に出ている。決済サービス法案はこのニーズに応じて生じたものと言える。当該法案は以前の法的空白を埋め、シンガポールの暗号通貨事業をグレーゾーンから離脱させ、その合法性を保障するものである。

今回の新法案は全面的に金融テクノロジーを推進する趣旨を基軸とし、そのリスクを減らすことから着手し、市場への明確な規制モデルを提供する。さらに、多くの顧客への全面的保障を提供し得るものである。

 

付録:決済サービス法案に規制される既存の決済サービス事業

参考文献:《”Payment Services Bill” – Second Reading Speech》:http://www.mas.gov.sg/News-and-Publications/Speeches-and-Monetary-Policy-Statements/Speeches/2019/Payment-Services-Bill.aspx


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